潜在意識の神秘

突然ですが、
僕は筋金入りの映画好きです。

特に外国映画を観ることが多く、
これまでに3000本以上観てきました。


ですから、英語やロシア語、スペイン語など、、。

外国語は僕にとって
無機質な白い紙に印刷された
黒い文字の羅列ではありません。


スクリーンに広がる異国の情景や
個性豊かな俳優たちの表情や仕草、
声と結びついたカラフルな世界なのです。

先週の月曜日、フランス語で
童話「ヘンゼルとグレーテル」を
聴いていたときのことです。

次のようなくだりがありました。

Hansel se hissa sur le toit et ramena un peu du faîtage pour le goûter, tandis que Gretel se tenait près de la fenêtre et la grignotait.

ヘンゼルは屋根に登り、尾根の一部分をおやつに取り、一方、グレーテルは窓際に立ってそれをかじりました。


ちなみにこの場合、屋根はお菓子で、
窓は砂糖でできています。

「grignoter(かじる)」という
言葉が耳に入った瞬間、、。

1999年のイギリスの
ロマンティック・コメディ映画
『ノッティングヒルの恋人』で、

ウィリアム(ヒュー・グラント)が
アナ(ジュリア・ロバーツ)に

「Would you like something to eat? Uh… something to nibble… um, apricots soaked in honey.(何か食べる? ええと、何かつまめるもの、アプリコットの蜂蜜漬けとか。)」

と食べ物を勧めるシーンが
脳裏をよぎりました。


英語の動詞 “nibble” は
「少しずつ食べる、ちょっとかじる」という
ニュアンスです。


既知の単語と未知の単語、
覚えている単語と忘れてしまった単語という
括りで言えば、、、


僕にとってフランス語の動詞
“grignoter” は前者に該当しました。


しかし、先日の言語体験により、
この “grignoter” が “nibble” という言葉を
口にしたときのヒュー・グラントの
表情や仕草、声と相まって、、、


僕の脳の中で新たな印象をもって
強固に記憶されたんです。

そうなると、フランス語を話すときに
何かの拍子に “grignoter” という単語が
自然と口をついて出てきやすくなります。


「聴く」という日々の言語体験が、
それまでの人生で蓄積された

膨大な聴覚情報・視覚情報の一部を
電光石火で呼び覚まします。


そしてそこから新たなイメージの
連鎖を作り出すのですから、、

人間の潜在意識の神秘には
驚きを禁じ得ません。

あなたも同じような体験があれば、
ぜひ、教えてくださいね。
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最後までお読みいただき、
ありがとうございます。

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