20代の頃、僕は海外旅行に
ハマっていました。
特にヨーロッパが大好きで、
よく足を運んでいました。
当時は社会人になりたてで
貯金も少なかったので、
いつも最安値の航空会社を
選んでいました。
その航空会社は、
ロシアの「アエロフロート」です。
「アエロフロート」という名前は、
ロシア語の「Аэрофлот(Aeroflot)」に
由来しています。
この言葉は「Аэро(Aero)」=「航空」
と「Флот(Flot)」=「艦隊」
を組み合わせたもので、
「航空艦隊」という意味です。
かっこいい名前ですよね。
アエロフロートは1923年に
旧ソ連で設立された老舗の航空会社です。
最初は「ドブロリョート」という名前で、
「良い飛行」または「快適な空の旅」
という意味でした。
この言葉もやはりロシア語の
「добро(dobro)」=「善・良い」と
「лёт(lyot)」=「飛行」 を
組み合わせたものです。
1932年に「アエロフロート」に
改称され、今もロシア最大の
航空会社として運行しています。
100年近い歴史を持つなんて、
すごいですよね!
周りの友人の中には
「機体が古い」「サービスがイマイチ」
と不満を言う人もいましたが、
僕はそこまで悪い印象は
持っていませんでした。
安く飛べればそれで
十分だと思っていました。
でも、ある日のフライトで
忘れられない出来事が起こりました。
名古屋からモスクワに向かう
アエロフロートの機内で、
客室乗務員が新聞を配ってきました。
ロシア語はあまり読めなかったので、
英字新聞を選びました。
すると、その一面に衝撃的な
写真が載っていました!
数日前にアエロフロートの
別の飛行機が墜落したという記事です。
炎上する機体の写真が
大きく掲載されていて、
隣にはボイスレコーダーの
解析結果が書かれていました。
機体が急降下する図解とともに、
機長の叫び声が
吹き出しで載っていました。
The end is coming! The end is coming!
(もうダメだ! おしまいだ!)
こんな記事が一面に載った新聞を、
笑顔で配る客室乗務員の
気持ちはどんなものだろうと、
ちょっと複雑な気持ちになりました。
するとその瞬間、
機体がガタガタッと激しく揺れました。
たぶん乱気流に
入ったからだと思いますが、
タイミングが最悪でした!
さっきの墜落記事を読んだ直後の
揺れだっただけに、
顔面蒼白になりました。
普段は神様なんて信じない僕ですが、
こんな時だけ都合よく
お祈りモードになりました。
「神様、どうか無事にモスクワに
着けますように! 着いたら絶対に
悪いことはしません。
真面目に生きていくので助けてください!」
と心の中で祈りました。
結果、無事にモスクワに到着しました!
着陸した瞬間、
Слава Богу…(やれやれ……)
と心の中でつぶやき、
ホッと胸を撫でおろしました。
もちろん、さっきの
「真面目に生きる」なんて約束は
すぐに忘れて、
ハイテンションで
次の目的地であるヨーロッパに
思いを馳せました。
いや、人間ってホント、
都合がいい生き物ですよね。笑
